ミランダ・ジュライ著 最初の悪い男

一人称で書かれた小説。本のカバーにある説明文には


43歳独身のシェリルは職場の年上男に片思いしながら、孤独な箱庭的小宇宙からなる快適生活を謳歌。9歳のときに出会い生き別れとなった運命の赤ん坊、クベルコ・ボンディ再会を夢みる妄想がちな日々は、上司の娘が転がり込んできたことにより一変。衛生観念ゼロ、美人で巨乳で足の臭い20歳のクリーだ。水と油のふたりの共同生活が臨界点をむかえたとき――。幾重にもからみあった人々の網の目がこの世に紡ぎだした奇跡。ミランダ・ジュライ、待望の初長編。


なんか面白そうじゃない? じっさい面白かった。

しかし小説なんて久しぶりだ。もう何年もの間読んでいない。

本を読む習慣がまったく失われてしまっているので、最後まで読むのに努力を要した。時間もかかった。まるで働いてるみたいだ。

作中に出てくるデヴィッド・ボウイの「KOOKS」。変人とかそういう意味らしい。読書を再開するのに苦労して、この曲を何度も聞いた。毎日何度も繰り返しループしていること――テレビを眺めることやSNSで呟くことや政府に腹を立てることや酒やその他のこと――を断ち切るために何度も。

しかしどうして、こうも人間の文化とかいうものはドラッグに似てしまうのか。暗澹たる気分にもなる。自分で気づいていないだけで、意志も自由もなく、主人もいないのに飼いならされている奴隷なのか? 歴史に登場する戦争や殺戮のようにそれを繰り返す。 

でもきっともしかすると、普通の人はそんなことは当たり前だと思っていて、逃れ立ち向かうために自分が好きだと思うものを見つけて、それを繰り返し、見たり聞いたり触ったり嗅いだり吸ったり食べたりするのかもしれない。

なぁんてね。


著者のミランダ・ジュライは才能あふれる人で、女優でもあり、映画も撮っている。夫は映画監督のマイク・ミルズ。この小説は彼に捧げられている。

彼女の顔どこかで見たことあるな。「犬ヶ島」の交換留学生に似てない?

本を読んだら、腹が減った。なにを作ろうかな?

酒はもう飲んでいる。小説読んだくらいでやめられるわけないでしょ?


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