パラダイス・ガラージのアルバム「愛と芸術とさよならの夜」
¥2,400+税
このアルバムを聴いた後で、皮肉をいうつもりはない。
歌をうたってアルバム作ってCD出して配信もやって、みーくんすごい。
他に何か言うこともないのだけれど、誰にも伝わらないかもしれないからもう少し言葉をかさねてみようか。誤解されることを心配はしない。自分がされるだけで、このアルバムを誤解したりしないだろうと思うから。サウンドを聴いているなら尚更。
べつに自分にできないことをやっているからすごいというわけではない。
ぼくは何もできない人間だ。そんなことはいくらでもある。
べつに豊田道倫のアルバムが全てそうなのかといわれたら、違う。
そういえば、このアルバムのマスタリングはアビーロードスタジオでやったんだっけ。ビートルズもぼくにとって「アルバム出してすごい」バンドのひとつだ。
CDジャケットの小冊子の冒頭には、本人による製作の経緯が載っている。
いちばん感銘をうけたのは、字が間違っていても直さないところ。
歌詞で印象に残っている言葉は
「茶番じゃないのは 歌だけ」
「Sex,drug & rock'roll forever」
「いまなんじ」
「居酒屋たよこ」という曲はいろいろと懐かしい。
自分もいろいろと思い出す。
ぼくが初めて豊田道倫の歌を聴いたのは、「愛情」が出たころのクラブクワトロ渋谷。ギター一本で歌うみたいな企画で、他には、高田渡、遠藤賢司、曽我部恵一が出演していた。「東京で何してる?」という大阪の友達から電話がかかってきて、東京で何をしてるかきかれていろいろ喋るという歌。そこで
「たいしたことは何もない たいしたやつはいなかった」
場内が静まりかえった。
その時の静寂は、今でもはっきり覚えている。
それから何年もたって、同じライブに行った人の話を、また聞きできいたのだけれど、そのことには触れず別のことを喋っていた。下ネタがどうとか…。たぶんその人も忘れていないと思う。
思い出話は長くなりがちだ。「居酒屋たよこ」という歌も長い。
これを書いていて、自分のことを「ぼく」と呼ぶのに違和感があるのに気づいた。
それはきっと、豊田道倫の歌の「ぼく」のほうが自分にぴったりしているからだ。
でも、直さないでおく。
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